2019/03/31 20:49
「大地の美しさをもっと身近に」
その想いのもと立ち上げたのが、実際の地形の3Dデータをベースにした、この日用雑貨ブランド「MiniatuEarh」です。
とはいえ「MiniatuEarth?なにそれ?」という方も多いと思います。そこで、少しMiniatuEarth、そして制作者の私について紹介したいと思います。
私について
私の生きがいはロードバイク。最近街でピッタリした服を着て、競輪選手のような高そうな自転車に乗っている人を見かけると思いますが、あれです。
実はあれ、200kmを超える道のりや、2,000メートルを超える山々を人力で走破するためのマシンです。
私もご多分に漏れず、学生時代から暇さえあれば「自転車旅」と称し、それこそ日本中の道、特に山を走り回ってきました。
富士山、乗鞍岳、八幡平や東北の山々、阿蘇をはじめとする九州の山々などなど…。
そうすると次第に、山や自然の地形について、様々なことを考えるようになります。
一つは地形そのものの美しさについて。
日本全国を旅してきましたが、同じ地形が一つとして存在しない。日本は地形的に、非常に多様性に富んだ国だと思います。
地形とは度重なる自然作用によって生み出されたものです。その複雑さ、無秩序であるようで、どこか法則性を感じさせる美しさに触れるうち、その世界にすっかり魅了されてしまいました。そしてその「美しさ」を自分なりに解釈し、再現・再構築する方法について、考えるようになったのです。
もう一つは地形がもつ「物語」について。
地形とは火山性のものにせよ、浸食や風化によるものにせよ、何千万年、何億年という自然作用の積み重ねによってつくられたものです。そのスケールは、私という個人、そして人間の物差しを遥かに超えた、圧倒的なパワーで「自然」という世界について語りかけてきます(登山をする方や自転車で山を登る方は、同じような経験があるかもしれません)。
原始的な宗教では、山岳信仰、つまり山そのものを神聖視するものがありますよね。
あれはもしかしたら、山にまつわる様々な経験の中で、山を媒体とした「自然」に関する物語を読み解いたものなのかもしれません(私は宗教家ではありませんので、安心してください)。
地形の物語はそれだけではありません、つまり地形を舞台にした「私たち」の物語です。
それは「文化」という人類的な尺度でも、「山を登る私」という個人的な尺度でも存在します(ここから先は長くなるので、おいおい)。
長くなりましたが、地形を見るとき、そこには目に見える地形そのものの美しさ、そしてそこに潜む物語的な美しさがあると感じます。それらをもっと身近に感じることはできないか。それが私のものの考え方であり、MiniatuEarthを立ち上げた動機の一つです。
MiniatuEarthについて
とはいえ、普段の生活でこういったことに思いをはせる機会は稀です。
かく言う私も、東京都内で生活し、平日は都内で仕事。休日の限られた時間のみ遠出して「大地」のストーリーを消費する。それをもどかしく思いながらも、生活があるのでそうせざるを得ない。登山やアウトドア・アクティビティを楽しまれる方の中には、同じような気持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
またテクノロジーの進化により、近代的な「生活」は自然の世界から常に離れてきました。
日常で「大地」を感じる機会は減り、その価値すら忘れていく。
「ならば、その日常生活の中で、僅かながらでもそういったものを感じるきっかけを作れないか。
壁に掛けるとか、棚に置いて眺めるとかより、もっと身近で能動的な方法で。」
これがMiniatuEarthの原点です。
まず取り組んだ「Metamorphose」シリーズは、地形のオブジェにあえて日用雑貨としての機能を追加し、また完成品でなく「作る」という工程を残しています。それは全て、この想いに基づくものです。
ご自身で作り、使っていただくなかで、「大地の美しさをもっと身近に」感じていただきたい。
まだまだ未熟な点も多くありますが、こんな私の想い・価値観に共感していただけましたら、ぜひMiniatuEarthの世界を楽しんでいただければ幸いです。